2019年2月25日月曜日

随想録 2019年2月25日

一昨年の暮れに「浮き握り」を発見してから、居合の抜き付けに大きな変化が生まれたが、そこから一年かかってようやく技法としての整理がついてきた。
右手の動きが最小になった分、それ以外の部分を最速かつ最大に働かせる必要があり、そこを整えるのに試行錯誤を繰り返した結果、左手の「柄送り」という操作が生まれ、それによって自分としてはこれまでで最も早い抜き付けができるようになった。
「柄送り」とは左手での鞘送りから、右手が柄にかかる一瞬前に鞘引きに転じるというもので、慣れてくると「鞘送り」の部分が消えたような感覚になってくる。
これまではこの抜刀法を「浮き握りと柄送りによる抜刀」と言ってきたが、技法としてのまとまりがついてきたので、今後は「二拍の抜き」と称することにした。右手を浮き握りで柄に寄せる動きと、左手を鞘に掛ける動きを同時に行なうところが一拍目、右手の握りを開くのと左手での柄送りを同時に行なうところが二拍目として「二拍の抜き」ということだ。二拍目が終わった瞬間に刀身が走るので実質的には三拍なのだが、感覚的には抜き付け自体が二拍目の中に含まれているように思える。
この抜刀法では、左手の操作の早さにつられて右手もつい早さを出そうとしてしまいそうになるので、そこをどれだけ我慢して動けるかが、重要なポイントである。
今年に入ってから英信流の初伝のような正座からの抜刀においても、「二拍の抜き」に応じた下半身の操作ができるようになり、これでようやく「武術としての居合」のスタート地点に立てたように感じている。

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